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押さえておきたい法的なこと

死後の銀行口座凍結について

銀行口座の死後凍結について

「預貯金下ろすなら、今のうちに下ろした方が良いですよ。口座凍結したら下ろせないですからね。」先輩が葬儀打ち合わせの時、良くお客様に伝えてた言葉です。でも、勝手にお金を下ろしてしまうのは、トラブルの元です。そもそも、金融機関が口座を凍結させるのは、相続財産である預貯金を遺産分割が終わるまで守るためです。

死亡届を出しても口座は凍結されません。親族が届けるか新聞のお悔やみ欄や外回りの職員が情報を掴んだりして凍結されます。銀行が死亡を知ることがなければ、キャッシュカードと暗証番号で下ろすことは出来ます。もちろん通帳と印鑑でおろしことも可能です(本当はすべての相続人に確認を取ってからでないと、ダメなのですが)

親族が勝手にお金を下ろしたかどうかは金融機関に「取引履歴明細証明書」を発行してもらい調べることが出来ます。口座が凍結するとすべての入出金や引き落とし、ローンや公共料金の支払いもストップされてしまいます。家賃収入のある方振り込みが弾かれます。電気代滞納で電気が止められるという事が起きるかもしれません。証券口座も凍結され、取引が出来なくなります。

対策としては、あらかじめ親からお金を預かっておく。その際使った分の領収書を取っておくとトラブルが避けられます。
ご本人が死期が近いと分かった時点でローンや公共料金の引き落とし口座の名義を変えておく、葬儀や当面の生活費を預けておくという事も考えられると思います。

生命保険は、手続きをすると3日から1週間以内には振り込まれ、非課税も一人500万円まで受けられます。ぜひ活用すると良いと思います。

さて、凍結中でも、医療機関の支払いや葬儀代金をどうしても下ろしたいという時には、手続きは面倒ですが下すことは出来ます。
また、凍結の解除も手続きは煩雑ですが相続財産が適切に処理されたことが証明すると出来ます。
預貯金を夫婦で分散しておくとよいでしょう。

認知による銀行口座凍結について〜

最近、親が認知症を発症し銀行口座が凍結してしまった。という話を耳にします。銀行窓口で名前が書けない話が要領を得ない…となると別室に通され
そこで簡易的なテストを受けさせられその結果、認知と診断され口座が凍結されます。
窓口でお金を下ろすときに「おふくろ認知になっちゃって、施設に入れるんだよ」と言ってしまい即凍結されたり、若い方でも脳梗塞になりその後認知症になって口座が凍結したという血も涙もない、話も聞きます。

口座が凍結すると、払い戻しや解約などの契約変更は一切出来なくなります。
ただし、死後凍結とは違うのは引き落としや振り込みはそのまま続くという所です。ほっておくと、年金はどんどん振り込まれているけど、下ろすことは本人が亡くなり相続手続きが終わるまでできないということにもなりかねません。

そもそも、何故認知で銀行口座が凍結するか、ひとつにはオレオレ詐欺の横行です。昨年被害届が出ているものだけで13,550件、被害総額285億2,336万円にも上がります。もう一つは、悲しいことですが心無い一部の親族の使い込み防止、銀行は口座を凍結して預金を守るのです。

2025年には5人に一人は認知になると言われている日本で、どうなっていくのか?少しずつですが制度整備も進んでいます。2021年2月に全国銀行協会が、新たに緩和策を打ち出しました。それまでは各銀行の窓口に任せるという対応でしたが、医療費等本人の利益が明らかな使途については、親族が本人に代わり預金を引き出せるようになりました。しかし、自由に下せるわけではなく請求書等必要書類を用意しなければなりません。

〇成年後見人制度を銀行は勧めてきます。家庭裁判所が決めた成年後見人が本人に代わり財産管理をしてくれます。経費は月2~6万円位かかります。
〇家族信託の活用
資産のもともとの所有者である委託者(たとえば親御さん)が認知症になったとき、受託者(たとえば息子)に資産を託すことが出来る。委託者に判断能力があるうちに、受託者との間で家族信託契約を締結する必要があります。

※銀行の凍結に備えるだけで良いのであれば(代理出金機能付き信託)もあります。押さえておきましょう。

まずは、元気なうちに話し合って、資産を分けておくことが大事かなと思います。
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